高次脳機能障害とは

高次脳機能障害は、交通事故や頭部のケガ、脳卒中などで脳が部分的に損傷を受けたため、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態をいいます。
外見上では障害があることがわかりにくいため、周囲の理解が得られにくいと言われています。

原因

脳外傷(頭部外傷)

交通事故や高いところから転落して、頭を強く打ち脳に損傷を受ける。
・硬膜外血腫・硬膜下血腫・脳挫傷・びまん性軸索損傷・脳出血など

脳卒中(脳血管障害)

脳の血管がつまったり破れたりしてその部分が機能しなくなる病気。
・脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・もやもや病など

その他

他に脳をおかす感染症や自己免疫疾患、中毒などによっても高次脳機能障害は起こります。
・脳炎(ヘルペス脳炎など)・低酸素性脳症・ビタミンB欠乏症・腫瘍など

どんな症状?

高次脳機能障害の症状には、何度も同じ事を話したり質問したりする「記憶障害」、気が散りやすく、仕事上でのミスが多くなる「注意障害」、感情のコントロールができない「感情障害」のような様々な症状があり、日常生活にさまざまな困難が生じます。

4つの特徴

  • 注意障害
    集中力が続かない。気が散りやすい。複数のことを同時にできない。
  • 記憶障害
    物の置き場所を覚えられなかったり、新しい出来事を覚えられない。
  • 遂行機能障害
    段取り良く物事を進めることができない。優先順位がつけられない。
  • 社会的行動障害
    感情や欲求のコントロールができない。やる気が起きない。人柄が変わってしまう。

高次脳機能障害は治りますか?

高次脳機能障害は、手術治療や内服治療といった確立した治療方法がありません。
しかし、適切な支援によって「症状が目立たなくなる」、 もしくは「症状があっても日常生活・社会生活が行える」ようになります。
社会復帰を目指してリハビリテーションを行うことが大切です。

高次脳機能障害支援に関する制度

障害者総合支援法

平成24年6月27日に障害者総合支援法(地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講じるための関係法令の整備に関する法律)が公布され、平成25年4月1日(一部は平成26年4月1日)に施行されました。
 高次脳機能障害者に対する相談支援は、障害者総合支援法の第3章:地域生活支援事業で定めている、市町村が行う「一般的な相談支援」および都道府県が行う「専門性の高い相談支援」に位置づけられています。
 都道府県は、高次脳機能障害者への支援拠点機関および支援コーディネーターを配置し、高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援、関係機関との地域支援ネットワークの充実、高次脳機能障害に関する研究等を行い、適切な支援が提供される体制を整備すること。また、自治体職員や福祉事業者等を対象に研修を行い、地域での高次脳機能障害者支援の啓発と普及を図ることが定められています。

障害者総合支援法:
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000123

障害者手帳

障害者手帳を所持することで、各種税金や公共料金等の控除や減免、公営住宅入居の優遇、障害者法定雇用率適用等のサービスを受けられます。また、障害福祉サービスを利用することもできます。サービスの対象者や内容は、自治体により異なることがありますので、お住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。
 なお、身体症状と精神症状を併せ持つ場合には、2種類以上の障害者手帳を申請することができます。

精神障害者保健福祉手帳

高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されれば「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。申請時に必要な診断書を記載するのは、精神科医である必要はなく、リハビリテーション医や神経内科医、脳神経外科医等も可能です。高次脳機能障害の主要症状と日常生活への影響や困っている点について具体的に記載してあることが重要です。診断書は初診日から6か月以上を経てから作成してもらい、作成日から3か月以内に申請する必要があります。

身体障害者手帳

手足の麻痺や音声・言語障害があり、厚生労働省の定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に、身体障害者手帳の申請対象となります。詳細はお住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。

療育手帳

発症(受傷)が18歳未満で、自治体が指定する機関において知的障害と判定された場合に、療育手帳の申請対象となります。

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